第二話『触手』

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「ホイミスライム発見だァ」 「モルボル発見だァ」 「うわぁぁぁぁぁ!!」 緑が生い茂る街道に 少年の悲鳴にも似た叫び声が木霊する 「ウソばっかりつくなッッ!!びっくりする」 白銀の鎧を着た銀髪の女性がそう少年を諭す 少年はにやけたままうんうんと頷き 元気良く手を大袈裟に振りながら歩いていく 「(本当にあんなのが勇者なのかッ!?クッッッ……)」 女性の心に芽生えた疑心の心は強く成長していた 城を出発してからもう半日がたつ それからあの勇者と呼ばれている少年はずっとあの調子だ 時々 怯えの表情をしながら後ろに控えるハルナを見るが それ以外はずっと この世界には存在しない筈の触手系モンスターの名を叫んでは女性に振り返り 叫んでは振り返る 意味不明 理解不能のその行動に頭を悩ませるフレアだった 「あッ……」 少年を怪訝に観察しているフレア ふと少年の歩みが止まったことに気付き 前方を見る すると 「そんなッッ!? 大量の触手が生えたブニョブニョスライム……!?」 それは クラゲに似ていた しかしそれより何十倍も大きく なにより目と鼻と口がありそれとは違うことを示唆していた
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