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『アメリカに留学してた時の、友達がこっちに来るんだってさ!』
そう言うと、篤がタンスを開けて何かを探し始めた。
『何してんの?』
私が不思議そうに篤に聞くと篤が嬉しそうに、振り返ってきた。
「これ!このキャットウーマンのTシャツをプレゼントしようと思って!」
そう言いながら篤がニコニコして、そのキャットウーマンのTシャツを自分の体に当てた。
「アメリカ人と話すチャンスなんてなかなかないし、本場のアメコミ情報も聞けるし、どうしよう!興奮して眠れないかも!」
そう言いながら、同じ所を行ったり来たりして嬉しそうに、私に笑いかけてきた。
そのアメリカ人が、アメコミファンだったら良いんだけど…。
私は、シワクチャになったキャットウーマンのTシャツをぼんやり眺めた。
あ!帰らなきゃ!!!
またお姉ちゃんに怒られる!
私は慌てて、荷物をまとめた。
「リサ?帰るの…?」
篤が寂しそうに聞いてきた。
『もうすぐ門限だからさ…ごめんね!』
私が申し訳なさそうにそう言うと、篤が微笑みながら言った。
「また明日ね…。」
『うん!じゃあね!』
私は、慌てて篤の家を飛び出して自分の家に戻った。
そして、今日も何気なく一日が終わった。
私はこれから自分の身に起こる事を知るよしもなかった。
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