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「転居した同級生とかじゃないのか?」
田舎町である。
若者の大半が都会に憧れ、出ていく。
「もちろんその線も調べましたが、『遠藤志津子(えんどうしづこ)』に該当する人物は浮かび上がっていません。旧姓の可能性も洗いましたが同じです」
岡本は額に浮かんだ汗をハンカチで拭った。
「被害者は引きこもり気味だと言ったよな? パソコンは?」
「持っていました。調べてはいますが、特に気になる内容は見つかっていません」
松山は何事も否定的な答えしかできない岡本に、いいかげん苛立ちを覚えていた。
「ちょっと専門家の力を借りてみる」
松山は岡本に任せていられないと、自ら事件を解決する気になっていた。
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