見えない人

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福岡県に住む田中直樹と田中安美。二人は、まだ結婚して1週間もたっていない。まさに新婚ホヤホヤだ。 だが、結婚して1週間と言っても結婚する前から一緒に生活していたので新婚ホヤホヤとはいいがたい。 二人は、あるマンションで生活していた。 外は暗くて、赤い満月が夜を照らしていた。 黒いスーツに左手に鞄。田中直樹、彼は普通のサラリーマンだ。今まさに家に帰る途中だった。 直樹は、マンションに入るとエレベーターに乗り、3階をおした。1階あがることに、透明なガラスから外が見えた。 3階で降りると、自分の家に向かいながら鍵を取り出した。 カツカツカツ。 足音が聞こえた。階段で登ってきた人が歩いているのだろう。興味はなかったが近くから聞こえたので振り返った。 カツカツカツ。 どうやら自分の位置からでは見えないらしい。 まだ階段をのぼる途中なのだろう。どこからか足音だけが聞こえる。自分のように残業で遅くなったのだろう。 だが自分なら階段でのぼろうとせず、エレベーターを待ってのるだろう。 残業をしてつかれているのに階段でのぼる体力などのこっていない。 そんなことを考えていると、家の前についた。鍵を取り出し、家の鍵を開けた。 靴を脱いで、台所にいくと部屋は暗く誰かがいる様子はない。どうやら安美はもう寝ているようだ。 それもそうだろう。今は1時前、寝ていないほうがおかしい。
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