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「黄龍が生まれない?!それはいったいどういうことなのですか!」
暗闇の中、朱の髪を持つ青年、紅(ホン)の声が神殿に響き渡った。
黄龍________それはこの世の姫であり、そして神。
四神の中心を統べる者であり、四神の中心に据え御護りする唯一無二の姫君にして、そして、四神のいずれかと身を結ぶべくして生まれてくる存在。
つまり、偉い神様で、この四人の中の誰かと結婚することになる相手のことだ。
蒼、紅、白、黒の青年は神殿の主である"木星"を見上げ眉をひそめた。
そして木星もまた、眉をひそめた。
『生まれないわけではない。…輪廻は巡っている…巡っているのだが……なぜかその生まれた世界が異なるのだ。』
かつての聖獣たち、そして姫。
それらの能力は輪廻転生によって現代まで受け継がれている、いわば特殊能力だった。
実際、神殿にそろっている四人には、その能力が宿っている。それぞれ、青龍、朱雀、白虎、玄武の力。季節を操る力
…しかし、どうやら最後の一人。一番肝心な黄龍姫が、転生したその場所に問題があるらしい。
姫は17を迎えるその年、体に黄龍の印がきざまれるとされている。
龍の鱗の刻印。それは神の印にして、混沌を納める鍵なのだとされているのだ。
しかし、姫が現在存在しているのは異次元、異世界。
その刻印を確かめようにも、確かめるすべを彼らは持ってはいなかったし、そばにいない人をどうやって守ってやれと言うのだ。
第一、四人とも、結婚に乗り気ではなかった。
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