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-6/27 AM/9:17・藤原宅-
「ふわぁ…ん~…」
あくびをしながら起き上がる藤原。藤原はある異変に気づく。
「あれ?
なんで誰も居ないのさ…?」
藤原は家の中を見回したが、祖母を含めて誰も家に居ない。
「おかしいな……」
藤原はテーブルに置かれた紙を手に取った。
「これはお昼代です。学校から帰ったら食べるように………。学校!?」
藤原は時計を見た。短針がすでに9を指している。長針ももう4の場所まできていた。
「遅刻じゃないか!」
1人自分に突っ込む藤原であった。
-同時刻・愛知県名古屋市-
「なぁ。
あれって何だと思う?」
「分からんけど気味悪いな」
2人の男女の視線の先には、怪しい動きをする男の姿があった。
「動きがゾンビみたいで気持ち悪いわぁ」
そう、すでに感染者が岐阜のお隣である愛知県にまで来ていたのだ。
もちろん、市民たちはそんなことなど知らない。少しばかり地震の被害と小さな津波がやってきたぐらいで、大きな被害にはならなかった。
「え?あれって血…だよな?」
「これって救急車呼んだ方がいいよな?」
男が携帯電話を取り出し、119を押した。
「あ、もしもし?
名古屋駅の南側に救急車お願いします」
男はそう言いながら、血を流している男の様子を詳しく見るために近づいた。
近寄るのを躊躇っていた女があることに気づいた。
まだ血が出ているはずなのに、地面の血はすでに固まっているのだ。
人間の血液はそうすぐには固まらないものだ。
「拓!近寄っちゃだめよ!」
女は男の名を呼んだ。しかし、すでに手遅れだった。
人間の近づく気配を察したかのように、血を流している男が拓と呼ばれた男の方へ向き直る。
そして…大きな口を開けながら男に噛みついた。
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