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「た、拓っ!」
女性は男の名を叫んだ。だがしかし、その声はもう男には届かなかった。
「だ、誰か助けてっ!」
女性は殺人者からの逃亡を始めた。殺人者は男の死体を貪っている。
「た…たく……うっ…」
女性の目から涙がこぼれ落ち、嗚咽が聞こえはじめる。
「なんで…どうして……」
男が殺されてから1分が経ち、交番勤務の警察官が2人駆けつけた。
「動くなっ!」
「両手を頭の後ろで組め!」
「貴様!聞いているのか!」
警察官が構えていたニューナンブを威嚇射撃のつもりで1発撃った。
しかし、殺人者は微動だにせず、ただ死体を貪っているだけだった。
「こ…この悪魔っ!」
女性…真田彩香は警官から拳銃を奪い取ると、10m以上離れた場所からその引き金を引いた。
小柄で、尚且つ訓練も何もしていない彼女が、10m以上も離れた場所から弾丸を命中させるのは困難だった。
先ほど警官が放った1発を除いた残りの5発のうち、彼女は1発を見事心臓付近に命中させた。
しかしそれでも、殺人者は倒れもしなかった。
「どうなってるんだ!?」
もう1人の警官は心底驚いたようで、バイクに飛び乗って逃げ出してしまった。
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