第二章・感染拡大

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「杉山っ!逃げるな! くそっ…君、早く逃げなさい!ここは危険だ」 「拓を…拓を殺したあいつを殺すのよっ! 私は逃げない!」 「君……」 -同時刻・陸上自衛隊駐屯地- 「なぁ聞いたか? 愛知で感染者が出たらしいぞ」 「………私、一昨年まで名古屋に住んでたんだ。 友達とか両親が心配だわ…」 「坂上さん、任務に出たときに私情は挟むなよ? それが命取りになるからな」 「先輩…」 「なぁ零崎、お前の嫁さんも確か愛知の人だったよな?」 「違うって。うちの嫁は大分出身だよ」 「九州だったっけ…。 九州の女は気が強いって聞くけど本当なのか?」 「さぁな。分からん」 「おいおい…」 ガチャ。扉が開き、彼らの上官が姿を現した。 「零崎、種田、坂上。たった今召集が掛かった。 例の人食い病の感染者が大阪にも現れたようだ。 府知事からの要請だ。出発の準備を始めろ。これより大阪市、池田市、門真市、高槻市を中心に戒厳令が発令される。 我らは大阪市の治安維持を務める」 「『了解』」 「しかし大阪にまで感染者が現れるとは……」 「感染経路は?」 「まだ分からん。岐阜が根源だと言われているが…感染者が発症する前に交通機関を使って、大阪に来たという可能性も無くはない」 「ちっ…頼むぜ…相棒」 種田が89式小銃を抱えてぽつりと呟いた。 「上等じゃないか。零崎の力を思い知らせてやるさ」
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