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「杉山っ!逃げるな!
くそっ…君、早く逃げなさい!ここは危険だ」
「拓を…拓を殺したあいつを殺すのよっ!
私は逃げない!」
「君……」
-同時刻・陸上自衛隊駐屯地-
「なぁ聞いたか?
愛知で感染者が出たらしいぞ」
「………私、一昨年まで名古屋に住んでたんだ。
友達とか両親が心配だわ…」
「坂上さん、任務に出たときに私情は挟むなよ?
それが命取りになるからな」
「先輩…」
「なぁ零崎、お前の嫁さんも確か愛知の人だったよな?」
「違うって。うちの嫁は大分出身だよ」
「九州だったっけ…。
九州の女は気が強いって聞くけど本当なのか?」
「さぁな。分からん」
「おいおい…」
ガチャ。扉が開き、彼らの上官が姿を現した。
「零崎、種田、坂上。たった今召集が掛かった。
例の人食い病の感染者が大阪にも現れたようだ。
府知事からの要請だ。出発の準備を始めろ。これより大阪市、池田市、門真市、高槻市を中心に戒厳令が発令される。
我らは大阪市の治安維持を務める」
「『了解』」
「しかし大阪にまで感染者が現れるとは……」
「感染経路は?」
「まだ分からん。岐阜が根源だと言われているが…感染者が発症する前に交通機関を使って、大阪に来たという可能性も無くはない」
「ちっ…頼むぜ…相棒」
種田が89式小銃を抱えてぽつりと呟いた。
「上等じゃないか。零崎の力を思い知らせてやるさ」
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