第二章・感染拡大

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-6/28 7:50 藤井寺市役所前- 「翔、勇人、宗平。今日はバイトあるからそろそろ帰るわ」 「そっか。気をつけろよ? 昨日から市内とかを自衛隊が警備しているらしいし…」 「NHKでやってたな… 確か市内で犠牲者が見つかったとか」 「戒厳令が布かれてるって」 「客足少ないだろうな…」 「ま、頑張ってこいよ」 「あぁ。じゃあな」 藤原はバイト先であるスーパーへ自転車を走らせた。 「それにしても人が少ないな。やっぱり戒厳令のせいか…」 30分後、スーパーのレジに藤原の姿があった。まだ開店前だが、レジの中に小銭を入れたり札を入れたりする仕事があるのだ。 「藤原、今日で丸2ヶ月だ。 しっかり頑張れよ?」 「……はい」 藤原は早く帰りたいが為にしんどそうに答えた。 「どうした?熱でもあるか?」 「…いえ、大丈夫です…」 「そうか……。 今日は昼まででいい。帰ってゆっくりしておけよ」 「…はい」 思惑通りに事が運び、藤原は内心ほくそ笑んでいた。 -6/28 12:58 スーパー2F 事務室- 「点検ね。机に置いといてね。 はい、これ給与明細書。お疲れさまでした」 「お疲れさまでした」 藤原は引き継ぎのバイトに後を任せ、早々に帰宅した。 「ただいまー」 「あら、お帰り。今日は早かったわね」 帰宅すると、藤原の母が出迎えた。 「うん、とりあえず昼ご飯が食べたいな」
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