第二章・感染拡大

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「俺…やられちゃいました…きっともう助からないです…」 若い警官は感染者を全員射殺した後、自分の頭部に銃口を突きつけた。 「や…止めろ!」 「駄目なんです…俺、奴らに噛まれて…見てください。こんなに酷い傷なんです。助かるはずないじゃないですか。だから…俺、迷惑をかけないうちに退場します…」 そして…。警官は引き金を引いてこの世に別れを告げた。 あまりにも堪えがたい今回の事件。1人残された警官は、その場に膝を着き、頭を垂れた。 -7/1 12:30・府立高校- 「ついに我が校の周辺でも犠牲者が出てしまいました。 教育委員会の緊急会議での話し合いの結果、我が校は1ヶ月の休校となりました」 「は?1ヶ月も休校…?」 「なぁ…藤原はどうする?」 「俺か?俺は……」 言葉が詰まった時、急に警報機が鳴り響いた。 「見てきます」 「先生が見に行ったで。 俺も見てくるわ」 藤原は体育館から抜け出し、校舎の様子を見に行った。 「まずは1階から……っ?」 1階の事務室の様子がおかしかった。 室内からガシャンガシャンと耳障りな音がしている。 「…………っ!?」 事務室の中は荒れていた。そして奴は居た。 「君!こいつをどうにかしてくれ!」 「はいよ!」 藤原は調理室にあったフライパンで感染者の頭を強打した。 「ジャストミート!」 感染者は顔面から床に倒れた。 「誰か噛まれてませんか?」 「いや、大丈夫だ。誰も噛まれたりしてないぞ」 「よかった…。 ここは危険です。体育館に来てください」
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