第二章・感染拡大

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藤原は、事務室に居た人たちを体育館へ向かわせた。 そして、事務室の中に戻り、感染者の両手両足を近くにあった紐で縛った。 「あとは…こいつの口を…」 藤原はそう呟き、感染者の口を縄で縛りつけた。 「先生? あれ…どこに行ったかな?」 「おい藤原!大変や!」 「どうしたよ?」 「体育館に…変な奴らが!」 「……。体育館に急ごう」 藤原はフライパンを片手に体育館に向かった。体育館に足を踏み入れた時、体育館は騒然としていた。 藤原が入ってきた扉とは別の扉を見ると、ぽっかりと大きな穴が空いていた。 体育館の片隅に追いやられている生徒たち。 彼らを追いやっているのはトカゲのような見た目をして長い舌をもつ生物だった。 「なんだよあいつ…」 「爬虫類みたいだよな…」 「一匹だけか?」 「俺が見たのは一匹だけや」 「そうか…」 藤原は静かに怪物の背後に近づいた。 「(硬そうな表皮やな…)」 藤原はフライパンを振り上げ、怪物の尻尾に叩きつけた。 「グゲァッ」 怪物は奇声をあげた。尻尾への攻撃は効いたようで、怪物は生徒たちの方ではなく、藤原の方へ向き直った。 「早く外へ逃げ!」 片隅で縮こまっていた生徒たちは、藤原の大声で動きだした。 「ふぅ…優先順位が生徒を逃がすことからお前を倒すことに変わったぜ」 藤原は胸ポケットに入れていたトランシーバーで仲間たちに連絡を取った。 「悪いけどここまで来てくれるか?」 『なんの。お安いご用さ』
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