93人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
「あれ…?
何十人か居たはずなのに…」
藤原は体育館を出て辺りを見回すが、すでに誰一人としてそこに居なかった。
「なんで誰も居ないんだ?」
藤原は手すりに近寄り、真下を見るが、それでも誰も見つけられなかった。
藤原は踵を返し、体育館に戻ろうとしたその時だった。
高校に隣接するガソリンスタンドで爆発が起きたのだ。ゴゴゴという地響きと共に、黒煙が舞い上がる。
「な、なんや?」
藤原は爆発の起こったガソリンスタンドをじっと見つめる。
何か嫌な予感がする。今この学校の中で起きている事以上に何かが起ころうとしている。
「なんかあったんか?」
「えらい揺れたけど?」
「二人とも無事なんか!?
あの怪物は?」
「いやぁ、思ったより動きが遅くてさ。二人で挟み撃ちしてたらあっさり死んじまったよ」
「そうか…」
藤原は池田と高崎を伴い、駐輪場に向かった。
「自転車はまだあるな」
「ってことはまだみんな居るんじゃないか?」
「学校の中を見て回るか」
藤原は土足で教室へと向かう。いつもは心地良く感じる廊下のひんやりとした感じが、今は寒気を感じさせる。
最初のコメントを投稿しよう!