第二章・感染拡大

17/19
93人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
「あれ…? 何十人か居たはずなのに…」 藤原は体育館を出て辺りを見回すが、すでに誰一人としてそこに居なかった。 「なんで誰も居ないんだ?」 藤原は手すりに近寄り、真下を見るが、それでも誰も見つけられなかった。 藤原は踵を返し、体育館に戻ろうとしたその時だった。 高校に隣接するガソリンスタンドで爆発が起きたのだ。ゴゴゴという地響きと共に、黒煙が舞い上がる。 「な、なんや?」 藤原は爆発の起こったガソリンスタンドをじっと見つめる。 何か嫌な予感がする。今この学校の中で起きている事以上に何かが起ころうとしている。 「なんかあったんか?」 「えらい揺れたけど?」 「二人とも無事なんか!? あの怪物は?」 「いやぁ、思ったより動きが遅くてさ。二人で挟み撃ちしてたらあっさり死んじまったよ」 「そうか…」 藤原は池田と高崎を伴い、駐輪場に向かった。 「自転車はまだあるな」 「ってことはまだみんな居るんじゃないか?」 「学校の中を見て回るか」 藤原は土足で教室へと向かう。いつもは心地良く感じる廊下のひんやりとした感じが、今は寒気を感じさせる。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!