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「(怯えていたら駄目だ…)」
藤原は一歩一歩確実に進んでいく。
「……っ!?これは…!」
藤原は廊下に血の擦れた跡を見つけた。
「なんてことだ…」
「どうした?」
「あれ…見てみ」
藤原は血の跡を指差す。池田は俯き、高崎は口を閉じる。
「多分…あと何時間かで市街地もこうなる…」
「はぁ?なんでだよ?」
「警官隊があのゾンビたちの襲撃に遭った。機動隊は壊滅した…」
藤原は耳を疑った。そんなことはあってはならないのだ。
「フッジー。信じたないやろうけどほんまなんや」
「嘘だ!そんなの…嘘…」
「第一機動隊、第二機動隊共に襲撃を受け壊滅。20人近くが死んだか行方不明だ」
「…くっ……親父ぃ!!」
そう、藤原の父親は機動隊員だった。何度か賞も貰っている、結構な秀才だった。
「親父が…」
「まだ…そうとは決まってないやろ?
確かに機動隊は壊滅した。けど親父さんが死んだなんてまだ決まってない。
可能性を信じるんや!」
池田が藤原の肩にそっと手を置き、隣の肩に高崎が同様に手を置く。
「さぁ、とりあえずみんなを捜そう。まずはそれからや」
「あぁ…うん…そうやな…」
藤原はゆっくり歩き出し、掃除箱から箒を取り出して一つ一つ教室を見ていく。
そして職員室に辿り着いた。あとはこの部屋だけだ。
藤原は扉に手を掛ける。そして横にゆっくりと引いた。
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