第三章・海兵隊

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「な、なんだあれは!?」 突然無線の向こうから大きな声が聞こえてきた。 「蜘蛛だ!でかい蜘蛛がでやがった!」 「撃て!撃てぇっ!」 その後は断続的にアサルトライフルの銃声が聞こえ、やがて銃声は途絶えた。 「どうなったんだ?」 「おい!応答しろ!」 「……ザー…ザザ…」 それからは雑音しか聞こえなくなった。隊員たちの中に恐怖心が芽生えるが、それでも天下の海兵隊だという自信と誇りが、恐怖心を少しずつ和らげる。 「何が起こったか分からないままだ」 「そうだな。おい、第1大隊、応答せよ。第1大隊、応答せよ!」 応答を求めるが、第1大隊からの無線連絡は途絶えてしまった。 -7/2 06:30・名古屋市街地- 「お前はあそこを調べろ。私はこちらを調べる」 隊員が頷くと、アルバート中佐は1人地下鉄構内へ足を踏み入れた。 そこはすでに異界だった。そこかしこに死体があり、彼は吐き気を感じた。 「落ち着くんだ。私は海兵隊の中佐、アルバート・スタン。 あんな死体になってたまるか」 彼は深呼吸し、ホルスターからベレッタを抜いた。闇の中から視線を感じる。そして敵意も…。 まるで早く出ていけと言わんばかりに投げつけてくる視線、そして敵意。 アルバート中佐は少し後悔した。明らかに闇の中の気配は多い。 その数はおそらく、アルバート中佐1人で何とかなるようなものではないだろう。 「ちっ…ここは一旦下がるか」
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