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ゆっくりと後ずさる。闇の中の気配はじっとしていて動かない。
「これは…?」
彼は照明の消えた暗闇の駅の中で一枚の紙を見つけた。
「……そうか。よし」
アルバート中佐は紙に書いてある内容を理解した。そしてできるだけ音を立てないように駅の外へ出る。
「日本語を読めるようになっていて助かった…」
「中佐、何かありましたか?」
隊員たちがアルバートに近づき、状況を報告したあと尋ねてきた。
「地下鉄構内の様子だが…真っ暗で何も見えん。
それに暗闇の中で何かが動いている。俺を狙っていたようだった」
「中佐、危険な場所です。1人で行動しないでください」
「ふっ、分かった。ならお前たち、ついて来い」
アルバート中佐は、部下を連れてまたゆっくりと、地下鉄構内へ足を踏み入れた。
「中佐、これを」
彼は部下から暗視スコープを受け取り、早速装着した。
「な、なんてことだ…」
暗闇の中にあったのは、おびただしい数の死体と、それに食らいつく異形の化け物だった。
まるで人間の全身の皮膚を剥がしたような体に、鋭い鉤爪、大きな牙を持つゴリラのような生物だ。
しかもそんなゴリラのような生物が4匹も居る。
「全員よく狙え!
いいか、外すなよ!撃て!」
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