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結局、病室には戻らず母が帰って来るまで車で一人、ひたすら考え込んでいた。
帰り道、母とは一言も喋らず流れる町並みをぼーっと眺めていた。
和広の頭の中には色々な事がグルグルと渦巻いていた。
「叔母と甥。」
厳しい現実を突き付けられる。
この関係は変える事のできない現実だ。
“このままちぃちゃんに気持ちを伝えずにいるのもツライよなぁ…”
そう思うと頭を抱え込んだまま蹲ってしまった。
それから1ケ月が過ぎた頃―――。
突然何かを思い付いたかのように、学校から帰るなり制服のまま、家を飛び出して行った。
自転車に飛び乗り、走らせること1時間半。着いた先、
そこは――。
千賀代が入院している病院だった。
無我夢中で千賀代に会いたい一心で、病院まで来たのだった。
受付を済ませ、病室へ向かう。
中からは何やら話声がする。
『誰だろ?ちぃちゃんと誰かが話してるみたいだけど…。』
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