自分への偽り

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『俺は…小さい時からちぃちゃんを知ってる。ずっとちぃちゃんを見てきたんだ!!』 聖は少し笑って、戸惑ったようにも見えたが、 『ちょ、……ちょっとマテよ!カズくん、その【好き】ってのは男として好きってこと?それとも身内として好きなのか?』 更に続ける。 『カズ君はちぃにとっては甥っ子だし、それに…歳が離れ過ぎてる。』 聖が言ってる事はごまかしようのない事実だ。 ”分かってるよ……そんな事、誰だって知ってる。………分かってるから尚更それが悔しいんじゃねーか!“ 心の中でそう叫ぶ。 年頃の女性を、しかも千賀代ほどの美人を普通なら世の中の男は放ってはおかない。 ましてや、中学生相手に本気になるなんてまず有り得ない話だ。 『俺は本気なんだよ!』 そう和広は言い放つと走り出した。 『あっ…カズ君!!待てよ!』 聖の呼び掛けも聞かず走り去って行った。 頭では分かってるつもりだった。 和広は悔しくて仕方なかった。
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