雨と桃色の傘

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女の子が傘をゆっくりと傾けると、不思議そうにこちらを見つめる瞳と、目が合った。 セミロングくらいの綺麗な髪、少し丸い輪郭の顔。 (……この人…僕のことが見える…?) 今まで一度だって、こんな事はなかった。 心臓がどんどん高鳴る。 「あァ……、こんな真冬にコンな格好しテたラ…目立っチゃったカナ…??」 笑いながら、服をヒラヒラさせた。 動揺して、言葉も何故か片言風に…。 女の子は、少しの間悠を見て、何か納得したようにこう言った。 「私の上着、貸しましょうか?」
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