雨と桃色の傘

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服からは、とてもいい薫りがした。 春の花のような薫り。 「あの、本当にありがとう…。きちんと、綺麗にして返すから」 ――また、会いたい 不意に、言葉を飲み込んでしまった。 携帯電話なんて、持っていない…。 今日ここで、こうしている事だって、まるで幻のようだった。 仮に、次会ったときも、自分は彼女に見えるのだろうか… 悠は不安という感情を、この日初めて知った。
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