雨と桃色の傘

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少し考えていると、それを察したのか、彼女が口を開いた。 「その服、あなたにあげるよ。高い物じゃないし、また持ってきて貰うの、手間掛かっちゃうしね。それに…」 女の子は悠の隣に、腰掛けた。 「私、実はあなたが公園に雨宿りした時から、通りかかってたの。 あなた、自分の体拭く前に、その自転車を拭いてた。自分の体ずぶ濡れなのに、一生懸命…。 それで思ったの。きっと、物を大切にする人なんだって。私の思い込みかもしれないけど…」 ……驚いた。 無意識というか、そんな事悠は考えた事もなかった。 急に照れ臭くなって、言葉に詰まった。
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