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しばらく二人の様子を眺めていると、
不意に金髪が振り返り目が合う。
彼はニヤリと笑顔を携え、こちらに向かってきた。
「よぉ、お前も試験を受けに来たのか?」
「……ここに座っているんだ。当たり前だろ」
「ははは、まぁ確かにそうだな! 俺はシン=アハトナ。お前は?」
「俺は……イェル=ハーティスだ」
「イェルか、よろしくな!」
あははと陽気に笑いながら隣に座るシン。
明るく元気と言えば聞こえは良いが、イェルからしたらうるさいだけである。
「なぁ……、お前うるさい」
「おっと、悪いな。同年代の友達なんていなかったからな!」
少し恥ずかしいのか視線を外すシンに対して、イェルは呟いた。
「可哀想な奴……」と。
「何か言ったか?」
「いや、何も言ってない」
平然と答えるイェルに、
「何か聞こえた気がするんだよなぁ」
と首を捻るシンだった。
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