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「今まで迷惑をかけた。お前がいなかったらと思うと、恐ろしいよ。
ありがとう」
感謝の意を込め言葉を紡ぐ。
「……私もアナタがいなかったら、こんな素敵な人生は無かったわ。
ありがとう」
二人の間を風が通り抜ける。
そこには見惚れる様な景色があった。
“このまま時が止まれば”
仲間たちは思う。
しかし、残酷にも時は流れる。
いかなる美しい風景すら留まることを許しはしない。
――もう時間はない。
―お別れの時間だ。
「ところで、我らが愛息イェルはどこにいった?」
「ふふ、愛息なんて初めて聞いたわ。イェル、こっちに来なさい」
呼ばれて彼らの下に近づいていくのは、まだ幼い男の子。
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