第二章

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  まさかと思い、彼方へ飛ばした筈のイェルを見ると、 自分の名前を今初めて知っただろう彼は自分にだけ見えるように その口に人差し指を立てた後、前に向きなおったのだった。 「あ、いえ。それでは、失礼します」 「うむ、わざわざ御苦労じゃったの」 そう言って、幾分余裕を取り戻したミュラーが心の中でガッツポーズをしながら退出していくのを、 イェルはニヤリと笑って見送ったのを彼女は知らない。 「それでこの後のことじゃが、明後日行われる筆記試験には出席しなくて良いからな。 一週間後、試験の結果が分かるんじゃが、その日にまた集まってもらうからの。 時間はこちらから連絡しよう」 また後日、ということで今日は解散になった。 転移を使用し無事に部屋に戻り、疲れを無くすために夜遅くベッドで目を閉じた。  
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