第三章

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  押し黙ってしまったイェルに対して、 またそのローブを見つめながら言った。 「……では質問を変えましょう。 マスターは未だ、その志を……?」 言われて頭の中に通り過ぎていくのは、 その身を、 空気を、 芯から蹂躙していく 赤、 紅、 アカ。 涙し、 嗚咽し、 許しを乞うモノを 笑いながら、 ソノ手ヲ――― 「マ……ー! マ…ター! マスター!!」 「あ……、あぁ……」 レストの声に我に返る。 イェルを見つめる瞳は真剣そのものであった。 「俺は、コレを、捨てる気は無い。 それに、俺の願いも、変わらない」 「そう、ですか」 ふぅっと息を吐き、 レストは短くそう言った。  
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