221人が本棚に入れています
本棚に追加
「悪いな」
「ちっとも誠意が感じられません。
本当に悪いと思っているんですか?」
「全然」
ふふ、と呆れたように笑う声が聞こえた。
「……まったくもって貴方という人は」
「なんだよ」
「いえいえ、私がマスターの良き理解者で良かったですね。
でもあまりソレに縛られてますと、
……後ろからザックリ殺っちゃいますよ?」
「あ、はは……、気を付けます」
そこでまた沈黙が訪れる。
二人とも何を思い、何を見ているのだろうか。
不意にぽつりとレストは言葉を洩らした。
「マスターを葬るのは私です……」
二人の視線は合わさり、さらに続けて言う。
「だからそれまで、死んではダメ、ですからね」
イェルは頷きそれに答えた。
そして、
夜は深く深く、
幾多の思いを包み、更けていった。
最初のコメントを投稿しよう!