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「埒が明かねぇな……。
おいミル、お前に任せる。俺コイツと合わねぇ」
「もう、またですか!? じゃあ、文句言わないで黙ってて下さい」
白の一人は頷いて一歩下がり、相対する二人を眺めている。
はぁ、と短い溜息をついてからミルと呼ばれた方が答えた。
「率直に言えば、勧誘です」
黒は先を続けろと促す。
「元(もと)政府軍[クロート]の異名“無涯”を持つミスト=ハーティス、
我が反政府軍[アトロポス]の力となっていただけないかとやって来ました」
「……あんたたちは、何者?」
「今度は私たちの質問です。貴方は何者ですか?」
しばしの沈黙の後、黒は自虐を含んだ声で言った。
「……ただの野良狗」
「野良? それはいったい……?」
「這いつくばって、吠えることも忘れた、汚らしい狗っころ。
質問には答えた。それであんたたちは、何者?」
その次の質問を寄せ付けないように突き放した言い方だった。
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