第三章

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  「埒が明かねぇな……。 おいミル、お前に任せる。俺コイツと合わねぇ」 「もう、またですか!? じゃあ、文句言わないで黙ってて下さい」 白の一人は頷いて一歩下がり、相対する二人を眺めている。 はぁ、と短い溜息をついてからミルと呼ばれた方が答えた。 「率直に言えば、勧誘です」 黒は先を続けろと促す。 「元(もと)政府軍[クロート]の異名“無涯”を持つミスト=ハーティス、 我が反政府軍[アトロポス]の力となっていただけないかとやって来ました」 「……あんたたちは、何者?」 「今度は私たちの質問です。貴方は何者ですか?」 しばしの沈黙の後、黒は自虐を含んだ声で言った。 「……ただの野良狗」 「野良? それはいったい……?」 「這いつくばって、吠えることも忘れた、汚らしい狗っころ。 質問には答えた。それであんたたちは、何者?」 その次の質問を寄せ付けないように突き放した言い方だった。  
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