第三章

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  ミルも転移して消え、いつの間にか黒も掻き消え、ミストとイェルだけが残った。 空はいつの間にか青く澄んでいて、太陽の光が窓から差し込み部屋の中を照らしだした。 「なんだか、どっと疲れちゃった。イェルは学園に荷物を持って行くんだっけ?」 ミストは俯き加減にそう言うが、返事が返ってこない来ないことに顔を上げると、 片手をあごに添え、何やら小さい声でブツブツ言うイェルの姿が目に入った。 「ん、ちょっと北に行ってみるかな……」 「ちょっとー、イェル聞いてるの?」 大きめの声でミストは呼びかける。 「え? 何か言ったか? ミスト姉」 「もう……、お願いだから無茶なことはしないでねー? 折角の学園生活が楽しめなくなっちゃうわよ」 「あー、気をつける」 頬を掻きながら、目は外に逸らしながらイェルは答えた。 「はぁ、それで? もう行くの?」 「んー、そうするかな。ジィさんに聞きたいこともあるし」 そう言って、二階から持っていく自分の荷物を目の前に転移させた。  
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