第三章

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  イェルが先ほどまでいた、その場所を中心として細かい花びらが舞っていた。 もちろん魔法で作り出した偽物ではあったが、それは心をとらわれるほどの光景だった。 「キザって言うか、演出が細かいっていうか……」 ミストの髪と眼と同じ、薄紫色が一面にはらはらと舞い、 ミストは掌を上に差出し、受け皿を作る。 ひらりとそれは掌に吸い込まれ、雪のように溶けていった。 「頑張ってね、イェル」 そして、ミストの言葉までもその薄紫の色の中、 宙に溶けていったのだった。 ――― ―― ―  
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