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イェルが先ほどまでいた、その場所を中心として細かい花びらが舞っていた。
もちろん魔法で作り出した偽物ではあったが、それは心をとらわれるほどの光景だった。
「キザって言うか、演出が細かいっていうか……」
ミストの髪と眼と同じ、薄紫色が一面にはらはらと舞い、
ミストは掌を上に差出し、受け皿を作る。
ひらりとそれは掌に吸い込まれ、雪のように溶けていった。
「頑張ってね、イェル」
そして、ミストの言葉までもその薄紫の色の中、
宙に溶けていったのだった。
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