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突然。
そいつらとは違う声がして、振り返る。
そこには、校内援交で有名な……及川リクがいた。
及川は明るい茶髪に金色のメッシュを入れ、制服は着崩しまくり、見るからに不良だ。
……この学校で不良であるのは当然といえば当然で、ぼくのような人種の方が少ないのだが。
「センパイ。葉山痛がってるよ?放してあげなよォ」
にこにこ。
及川はアイドルスマイルと言わんばかりに笑っている。
その笑顔に、強面の連中も思わず顔がゆるむ。
「いやあ……リッくんの頼みなら仕方ねーなあ」
スッと。
ぼくの肩から手が離れた。
「ねーねー!コイツ借りてってイイ?」
及川はぼくを指差し言った。
「え?あ、ああ。リクの好きにしろよ」
「ほんと?やったあ。ありがとセンパイ!」
及川は再び笑った。
連中はそれを見て、「まじカワイイ」とか「やべえ」など、口々に呟いていた。
……なにがカワイイ、だ。
ぼくは及川の本性を知っている。
あいつは見た目は天使でも、中身は生粋の悪。
悪魔野郎だ。
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