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dawn of winter
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それは深海を漂うような心地よい冷気
吐く息は白く、淡く散ってゆく‥‥‥
見上げれば、幾千もの星々の光が降り注ぐ
過去の輝き
過去の声
揺らめく星ひとつ、ひとつの言葉が、感情が、私の心に響いては散ってゆく‥‥
喜び、悲しみ、怒り、苦しみ
炎のように揺らめいては、水のようにカタチを変え、木の葉のように次第に色を変える‥‥‥
そうして、刻と夜風はクスクスと笑うように去ってゆく
音にならない音が、僕の耳をすり抜けてゆく‥‥‥
そして、明るみを増しはじめる空、星々は薄らいで消えてゆく
一瞬の静寂‥‥‥
コポ‥‥
コポ コポ‥‥‥
深海の底に差す一筋の光‥‥‥‥
新しい私が生まれる刻
過去が生まれ、セピア色の琥珀に‥‥‥
降り注いだ霜は輝きを放ち、世界を白で包んだ
あぁ、生まれる‥‥‥
右手を空にかかげると、指と指の間から光が漏れた
どうしてか、どうしてなのか、それだけが、その光が嬉しくて、僕を満たしていく‥‥‥
その瞳に夜明けを映して。
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