思慕。

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────────────── morning mist ────────────── 朝もやの街 静まり返った蒼に包まれて…… ビルの間をそっとくぐってゆく 囁きのように、微かに君に触れて 去ってゆく風 ぼんやりと浮かぶ並んだ街灯は 続いてゆく道しるべのように…… 導かれるように歩いてみれば 足音は波紋のように重なって 広がる 見上げた重々しく佇む灰色の 無機質は、無音で静止したまま 何かを待っていた 僕は『ソレ』を知っているような 気がするんだ 気付けば白い空はやがて青を帯び 黄から赤へ…… 何かが生まれる一瞬の無音 僕の全身を光が満たしてゆく…… 雑音を洗い流すように白は満ち、 響くアルトはソプラノに変わっていた 僕の音もこの世界に響かせて…… ──────────────
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