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  ― 俺の愉しみ。  それは隣人を覗き見ること ― 《ガチャン》 きたきた。 イアホンを装着し、パソコンのモニターに集中する。 『ただいまぁ、オオクマ』 帰宅するなりテディベアに話し掛ける画面に映る彼は… 大倉忠義、24歳男性。 大手企業に勤めるサラリーマン。 営業課で成績No.1の若きエース。 趣味はテディベア集めで、 好きな食べ物は白米。 朝食はご飯派。 長身に整った綺麗な顔で甘い声 大人しく、優しい性格で、女性に対する姿勢も紳士的で近所じゃ評判がいい。 その上、独身で彼女が居ないときた。 しかし、そんな彼にも秘密が。 『ただよしー』 それが、モニターにいきなり現れたこの男。 横山裕。本名、横山侯隆。 28歳男性。 職業、モデル。 何を隠そう大倉忠義の恋人。 そして俺のライバル。 ま、ライバルってのは俺の自称やけどな。 やって、二人は俺を知らない。 俺が勝手に大倉さんに一目惚れして、勝手に横山をライバル視してるんやから。 ふと気付くと画面から二人の姿が消えていた。 俺は慌ててカメラを切り替えた。
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