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「ちょ、くすぐったいって」
「んふふ~」
家を訪ねてみたら彼が気持ちよさそうに寝ていたから、その横へ添い寝をしてみた。
すると、それに気付いた彼が寝ぼけながら僕に抱き着いて鼻先を僕の首筋に押し付け、フンフンと鼻を鳴らしながら匂いを嗅いでいる。
首筋にかかる彼の前髪と鼻息が妙にくすぐったい。
だが、それをぐっと我慢して髪を撫でてあげると目を細め更に擦り寄ってくる。
「丸ちゃん、太陽の匂いする」
「ここまで歩いて来たからなぁ」
「あと、甘ーい匂いもする」
「シャンプーかな?」
「んー?違う。シャンプーや香水やない甘い匂い」
「…あ、もしかして」
「?」
ポケットから出し包みを剥がしたキャラメルを口に放り込んでやる。
すると瞬く間にキラキラとした笑顔に変わる。
「キャラメルや!丸ちゃんこの匂いしてたんやな」
「たつよしも甘い匂いすんで?」
「んふふ丸ちゃんとお揃いやね」
なんて、ニコニコ笑う彼と僕の周りには甘ーいキャラメルの香りが広がる。
「もう少し寝よっか?」
「うん。このままな?」
「おん。おやすみ、たつよし」
「おやすみ、丸ちゃん」
キャラメルの甘い香りに包まれ、柔らかい陽射しを浴びながら寄り添い眠る、春の午後。
END
ふわふわのほほんな二人が大好きです。
春って、仕事も何もかも投げ出して出掛けたくなりませんか?
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