叙情詩

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会社に行くと何も変わらない1日が始まる。 キョウコはキモチ冷たくなり、フラれたオレに気を使い、出来るだけ避けるようになった。 正にどうでもイイ、正直ウザイ。 最後に言い切った事実を与えるとフった気になる。 相変わらず扱い易いオンナだ。 なぜ、キミが求めない男を演じているのに気づかないのか? 昨日、泣きついたようなメールを送っておいたから尚更かな? 戻る気など、これっぽっちもないのに…。 とりあえず、後は高松君に任せよう。 上手くやるだろう。 この頃のボクは土曜日に必ず仕事を入れた。 一人で仕事をする時間と、ミクといる時間を過ごす為だ。 その時間は例え、セックスがなくてもいいし、どんなに僅かでも良かった。 どんなにシンドクても、僅か1時間でも、ミクと居られればそれで良かっのだ。 つなぎあった手は、必ずどこかで放さなければならない。 だからこそボクらは出来るだけ一緒に居たかったのだ。 ミクも出来るだけの時間を嘘と小細工で作ってくれていた。 その姿と何でもないような笑顔に愛しさが増した。 どんなに抱きしめても、足らない。 表現する言葉が足りない。 そんな愛情がボクのなかで渦巻いていた。 ボクの中の多くはミクの色に染まり、ミクが全てと言っても間違いではなかった。 数ヶ月前までは家族やヨウコに気を使ったりしていたのに…。 仕事の帰りは遅くなり、ヨウコとは次第にしなくなった。 ヒカルの父親を演じれても、ヨウコの家族を演じれても、旦那や男は出来ていなかった。 そして…、更に1ヶ月半がたつ頃。 全ては加速度を増して動き始めた。
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