叙情詩

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夜風は涼しく、見上げた月は手が届きそうな程、大きく美しく見えた。 デコメを使うミクのメールはボクの携帯には似合わないような気すらした。 しかし、その日は絵文字も少なく妙にシリアスだった。 (明日、何時から空いてる?) (いつも通り13時には迎えに行けるよ😃ミクはどう?) (わかった。いつもの紺屋町の駐車場はヤだな💦) (じゃあ、どこにしようか?) (駅前⤴伊勢丹がいい😃買い物したいの。ダメ?😅) おいおい、ミクさん。ダメって、あなた…… (わかった。いいよ。じゃあ、13時に伊勢丹と小倉駅の間の陸橋で…😃) って、いいのかよ!! (やったね⤴んじゃあ、明日ね。) マジなんだね。 (はいは~い😃また、明日ね⤴) って、そんな人の多い所で大丈夫なのか? ミクに何か考えがあるのかとも思ったが違うようだ。 ボクには不安はあったが、どこかでは、どうでも良かった。 待ち遠しい、でも不安だ…。 ボクは複雑な心境のまま、土曜日の13時を迎えた。 街は相変わらず、多いとも少ないとも言えない人に満たせれていた。 13時。 少し遅れ気味のミクを大画面のCMを見ながら待っていた。 「ゴメン。遅くなっちゃった。」 後ろからの声に振り返ると白のジャケットを着て微笑んだミクが立っていた。 「あれ?どっから?あ、バスか…。」 「うん。行こう。」 「何を買いたいの?」 「色々だよ。あと、お揃いの物、何か買わない?」 えっ? 「あぁ、良いけど。何か欲しいの?」 「見てから決めよ。」 ミクはボクの手を引いて何故かちょっと遠い井筒屋に向かった。 ボクはすでに動き始めていた状況に何も気づいていなかった。
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