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入り込む夕暮れとは対照的な陽の光に引き裂かれる訳にはいかない。
周りから見れば、ボクはバカかもしれない…。
でも、おろすから別れないでと言う…、そんな愛する女をこれ以上泣かせたくなかった。
ボクは目の前のバックミラーを見つめ、ミクは俯いたままだった。
聞こえなかった?っと思う程の沈黙の後…、ミクが喋りだした。
「ありがとう。うん、考えるよ・・・、。でも…、現実は…、無理だよ。」
…かもしれない、でも…。
「無理とかどうとかじゃない…。もう…、ミクを泣かせたくない。ずっと、側にいたいんだ…。」
「でも…、ワタシが…」
言葉をキスで埋めた。聞きたくない言葉が出る気がしたからだ。
「ボクとじゃあ、嫌?」
ミクは黙って首を振った。
「じゃあ…、ボクら二人の事を考え…」
「アキトは…、子供を、ヒカルちゃんを捨てれる?」
ミクはこぼれる涙も拭かず強い口調でいった。
ボクは黙ってしまった。ボクには、ボクの過去がある…。それは、キツい一言だった。
「ワタシも……。無理かもしれない。でも・・・なにがあっても、あの子は、ワタシをわかってくれる。愛した人が大事だった事。何より大事な人がいた事。あの子も恋をすれば…きっと、わかってくれる。でも、アキトは…、ヒカルちゃん、置いて行けないでしょ…。」
ボクは……、ヒカルを…、家族を…、壊す事が出来るのか?
「ボクは…、ヒカルが大事だよ、愛してる。あの子に何かあれば、何でもするよ……。」
「だから、ワタシが……おろせば…。」
「それでも、ボクはミクをとるよ。ミクがいるからボクはいるんだ。ミクが泣きながら迎える明日なんかいらない。ミクがボクの全てだから…。ミク、ボクと一緒にいてよ…。」
ボクの瞳はミクから離さなかった。いや、離せなかった。ミクにボクの気持ちを伝える為に…。
「…ありがとう。…ホントに…ワタシでいいの?」
「ボクはミクがいいんだよ。」
「ありがとう。でも、ゆっくり考えた方がいいよ。全てが変わるんだから…。」
外はもう陽が落ちてゆっくりと紫色に包まれてていた。
それでもボクの中の気持ちは決まっていた。
ベストの答えは二人できっと出していける。
冷たそうな秋風は寄り添いキスするボクらを包んでいた
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