5人が本棚に入れています
本棚に追加
春だ。
またこの季節が来てしまった。
桜が散る季節。
ちょうどこのころだったよな。
俺が拾われたのも…。
「おはよう、真」
「あ、おはよ。」
『ホンワリ』した、そして聞き覚えのある、よく通った声が聞こえた。そして、見覚えのある、高校生にしては少し小さめな美少女が立っていた。
星野 光
孤児院からの幼なじみ、まぁ家族みたいなものだ。高校に入っても同じクラスになっちまった。
「さくら、綺麗だね~」
「お前の方が綺麗だよ」
「もぅ、ふざけないで~」
あらら…怒らせてしまったようだ。顔が真っ赤にしてポカポカ俺を叩く。
真が冗談で言ったのは分かってるよ。でも、どうしても、ドキドキしてちゃう…。
だって、私は、真の事が……
「ひかり、遅れるぞ」
うん、と言って光は俺の後ろをついて来る。
小さい時から何にも変わってねぇな。
俺が遊びに行くといえば後ろをついて来た。
俺が寝るといえば一緒に寝た。
いつもついて来るんだよなぁ。
ま、嫌じゃないけどさ。
最初のコメントを投稿しよう!