バーチャル

4/13
前へ
/250ページ
次へ
「小山…。もし…手越があのままだったら…。結局、シゲとそうなることをどこかで望んでいたってことになるよね…。」 「P…俺…どうしよう…。心の中…ぐちゃぐちゃなんだけど…。」 「ぐちゃぐちゃ?」 「うん…。現実の世界じゃ、手越が好きなはずなんだけど…。Pに傾きつつあるから…。」 「こ…小山…。だめだよ…。でも…。」 「でも?」 「でも…俺も…。ああ、どうしよう…。実は俺も…ぐちゃぐちゃ。」 「Pも?」 「うん。俺は全くノーマルな人間だと思ってたのに…。何をもってノーマルっていうのかっていう問題があるけど。…ふつうに女の子が好きだと思ってたんだけど…。どうしてだろう…。」 「P…。どこかで…もうたくさんだよって…思ってたんじゃない?」 「あ…。そうかも…。全く理解できない人種だもん、女の子は…。そんなこと、大っぴらに言えないけど…。」 「俺の中には男とか女とかないけどね。」 「ん?」 「つまり…好きになった相手がたまたま女だったり、男だったりってこと。」 「それが手越か…。」 「そのはずなんだけど…。今…揺らいでる。…P…。もし…もしもなんだけど、このまま何日経っても戻らなかったら…そんときはもう一回、改めて告白するよ。」 「え?」と、少しドキマギする山下。 「いいでしょ?P…。」 「…うん。俺もそのときまで…気持ちが戻らなかったら…ちゃんと返事する。」 照れながら見つめ合って視線を逸らした。 ふっと山下が思い出したように言った。 「あっ。亮ちゃんとまっすーは?」 「ああ、どうだろ。バーチャルの世界じゃ、あの2人、ラブラブだったけど…。」 と2人で手越とシゲをはさんだ向こう側にいる錦戸と増田を見た。
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!

236人が本棚に入れています
本棚に追加