バーチャル

8/13
前へ
/250ページ
次へ
錦戸が言うと、増田が疑問を投げかけた。 「でも…。たまたまにしては偶然過ぎない?誰かが俺達の心を読んでるような設定じゃない?」 「まっすー!ちょっ、待って!俺達の心を読んでるようなって…。まさか…おまえはちゃうよな?」 「……えっ?……」 「なんや、その間は…。」 「正直…ちょっとだけだよ。ほんのちょっと。だからバーチャルから戻ってもちゃんと現実に戻れたんだよ。」 「あ~あ…。よかったわ。もう…実は俺も…って言われたらどうしようって思った(笑)」 増田と錦戸の会話を聞いていた加藤は、 「えっ?2人はここに入る前の状態に完全に戻ったの?」 と尋ねた。 「俺は完全に戻ったで。」 「俺もそうだよ。戻った。」 と、錦戸も増田も口を揃えて言った。 「そうなんだ…。」 と、少し項垂れる加藤。錦戸が、 「シゲ。大丈夫やで。向こうの2人もおまえと一緒やもん。」 と言った。 「なんでだろう…。6人いて、2人が全くなんともなくて、4人はこんなになっちゃうっていうのは。」 「知らん、そんなん。」 それを聞いていた山下が、 「俺だって全くわかんないんだから。」 と言った。 「とりあえず、ここを出よう。外に出たら、ちょっと変わるかもしれないし…。」 という山下の声に一同納得。 山下は勢いをつけてバーチャルマシーンから降りた。 「Pのいうとおりかもわからんな。ええこと言うやんか、たまには。」 「たまにだけ余計だよ、亮ちゃん(笑)。」 「(笑)」
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!

236人が本棚に入れています
本棚に追加