失われた力

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「キャアァァァァァアア!!」 「……………ぐっ!セイ!!」 二階の窓から飛び出し、さらに爆風によってその速度を増した涼達は頭からグラウンドの方へと落下していく。 だが三人の体を風が包むと三人は空中で停止し、ゆっくりと風に抱かれながらグラウンドの土の上に降り立った。 「はぁ……はぁ……っく。やはりこの肉体で人二人分を空中に止めるのはきついか…………」 セイはそう言ってパタリと土の上に寝転ぶ。それに釣られるように涼と瑞樹は力なく地面へと座りこんだ。 目の前に広がる燃え盛る校舎の二階に照らされながら涼は地面についた手を見ると、その腕は未だ微かに震えていた。 「まさかホントに上手くいくなんてな…………今思えばなんて馬鹿な作戦だよ」 「粉塵爆発か………思いつくのもそうだけど、それを実行するなんてホントに馬鹿げてるわ。それに、あれどうするつもり?」 瑞樹が若干やつれた顔で指差したのは轟々とその火力を増してゆく炎。 作戦が成功した後の事を考えていなかった涼は引きつった顔で「はは………どうしよう」とだけ呟いた。
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