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「それよりここにいたらまずいんじゃない?あの火事は私達のせいって思われるわよ」
「それは確かにまずいな……………早めに逃げるとしますか」
そう言うと立ち上がった涼は校門の方へと歩いてゆく。その後ろを瑞樹は服に付いた土や汚れを払いながらついてゆく。
二人は気疲れからかどちらの口からも出てくるのはため息しかない。
校門前まで歩いた三人はひとまず立ち止まり、辺りに人がいない事を確認する。
「よし、誰もいないな。それじゃ、また明日な」
「この事件の事やその猫の事、きっちり話してもらうわよ」
「分かってるって、じゃあお前も見つから………伏せろ瑞樹!!」
「………え?」
振り向いた涼が目にしたのは腕を振り上げる鬼の姿。
とっさに涼は手を伸ばしたがどうしても瑞樹には届かない。腕を振り下ろした鬼を涼は絶望を写した瞳で見上げる。しかしその横を黒い塊のようなものが通り過ぎた。
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