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「っう!!」
「許せ、女!」
涼の横を通り抜けたセイは瑞樹の腹にタックルをかますとそのまま二人は勢い余って倒れ込み、何とか鬼の一撃をかわすことが出来た。
それを見た涼はすかさず足に魔力を込め、高速で二人を抱えて鬼から離れた。
「まさか生きていたなんてな。中々やるではないか」
そんな軽口を叩いているセイだが実際は苦い顔をしながら戦闘態勢をとっている。
轟々と燃える炎に照らされ出された鬼の姿は、全身が火傷でただれており、片腕はダラリと力なく垂れ下がっていた。
満身創痍、見てとれるそのようすに三人は少しだけ安堵したが、ピンチには変わりない。
(くそっ!あれで倒せないなんて…………それにもう札はない。けど相手には確実にダメージが入ってる。上手く懐に潜り込んで一撃食らわせれば………!!)
覚悟を決めた涼は全身に魔力を流そうとしたそのとき、バンっ!という銃声が辺りに鳴り響いた。
放たれた弾丸は涼達の間を通り抜けると鬼の右腕を撃ち抜く。
鬼は痛みに叫びを上げ、両腕が利かなくなりながらも涼達へと一歩一歩近づいてゆく。
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