1057人が本棚に入れています
本棚に追加
目も開けられないほどの熱風に涼達はしばらく目を固く閉じながら熱風が収まるのを待った。やがて風と何かが燃える音が止み、涼達は各々目を開けて辺りを見渡しだす。
「………………嘘だろ」
涼が驚愕しながらそう呟いた先にあるのは黒い灰の山、そこはたしか鬼がいた場所。
ダメージを与えていたとは言え、あれだけの爆発でも死ななかった怪物を一撃で仕留めた謎の男。その男は灰の山の前に立つと、「よし、終了」と小さく呟くと立ち上がった。
「…………そうだ、助けていたただいて本当にありがとうございます」
「わ、私もありがとうございます」
涼が礼をしたのに習い瑞樹も謎の男の背中へ向けて頭を下げる。
「いやぁ、別に礼を言われる筋合いはないよ。教師が生徒を守るのは………当然のことだからね」
そう言って振り向いた男の顔を見た涼と瑞樹は頭を上げ、男の顔を見た瞬間固まった。絶句、言葉も出ない。そんな様子の二人は目の前のニコニコと締まりのない笑顔を指差しながら叫びを上げた。
「日下先生!?何でここに!!?」
涼の心の叫びにも薫はただニコニコと笑うだけだった。
最初のコメントを投稿しよう!