失われた力

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「実際僕のことはどうでもいいんだ。それより何故君達がこんな夜にこの場所に……………。しまった、目立ちすぎたな………」 辺りをキョロキョロと見回し出す薫を涼は不審に思いながらも眺めていると、いきなり薫がグラウンドの片隅へと向けて走り出した。 「ちょ、ちょっと先生!どこに行くんですか!?」 「周りの住人が気付いたみたいだ。付いておいで二人とも。色々知りたいんだろう?」 そう言い残した薫はすぐにまた走りだす。その後ろ姿を見た涼と瑞樹は一度顔を見合わせるとすぐさま薫の後を追った。 「おっ!来た来た。さぁ、後ろに乗って」 グラウンドから防風林を抜けると狭い道路に出る。そこには車の前に立つ薫と顔は見えないが運転席に一人の人。 涼達は言われるがままに後部座席に乗り込むと、車は誰にも気づかれることなく学校を離れた。
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