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いつの間にか時計が12時を指すころ、涼とセイは長い一日を終えてようやく家まで帰ってきた。車から降りた涼は小さくため息をつくと薫に一礼をする。
「校舎は壊れても学校は普通にあるからね。それじゃまた明日~」
ヒラヒラと手を振りながらそう言った薫は瑞樹を送るために走り去って行った。涼はその車の後ろ姿が消えるまで眺めていると、隣から大きな欠伸をする音。
「で、お前はどうするつもりなんだ涼?」
「どうって………なぁ?」
涼のあいまいな答えを聞いたセイは何も言わずに玄関へと入って行った。扉から漏れる光を眺めながら涼は一人これからのことを考える。
(魔法を教えてくれるって言っても、俺の場合は特殊だし…………。それ以前に俺は役に立つんだろうか……………)
寂しげな表情をした涼は夜風に吹かれながら、出ない答えを求めるかのように星の見えない空を見上げた。
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