アストライア

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それからHRや授業のときに現れた薫は至っていつも通りの締まりのない笑顔を浮かべていて、昨日この場所で何をしたのか全く覚えていないようにも取れるほど、薫は昨日のことを気にしていないように見えた。 授業や学校の予定も至っていつも通り。違うのは廊下で噂話しをする人数が多くなったことと、二階の教室が全焼し、2年生達は昨晩のうちに設置されたであろうグラウンドの一角のプレハブ校舎に移動したぐらいである。 全焼した二階も話によれば現在急ピッチで復旧作業を行っているらしく、来週には元に戻っているとのことだった。 「この学校ってつくずくスゲェよなぁ。チラッと見たんだけど、あの燃え方は一週間やそこらで元に戻るレベルじゃなかったぞ」 午前の授業が終わった涼と啓吾はいつも通り、隣に席を並べ昼食を取っていた。未だ冷めやらぬ噂をおかずに昼飯を食べる生徒達に聞き耳を立てていた啓吾はふとそんな事を呟く。 (普通に考えて無理だ………だってあの爆発だろ?多分アストライアが何かしたんだろうな………) 涼は窓から顔を出すと下の階の窓を見下ろす。窓の淵は黒くなっていたり変形していたりとその熱量を物語っており、窓のガラスは一枚たりとも残っておらず、未だ掃除しきれていないガラスの破片がキラキラと地面で輝いている。 しばらく砂浜のように輝くグラウンドを眺めていた涼に不意に後ろから声がかけられる。振り向いた先にいたのは不機嫌そうな顔をした瑞樹であった。
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