アストライア

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「そんな気にすることでもないと思うんだけど………」 「私が気にするのよ!………それと、昨日は助けてくれてありがとう」 有無を言わさずに謝り、感謝を述べた瑞樹は顔を上げると涼の事をジッと見つめると手を差し伸べる。 「………この手の意味は?」 「これからは仲良くしましょうの意味よ。ダメ………かしら?」 最後に弱気な言葉を言う瑞樹の姿はどこか弱弱しく、今日の瑞樹は普段の瑞樹からは考えられない態度を涼に晒し出す。 これが素なのだろうか?と思いながら、涼は心の中で微笑を浮かべると差しだされた瑞樹の手を握り返した。 「これからはお互い名前で呼ばない?ねぇ涼」 「もう呼んでるように思ったんだけど?綾さん」 綾は「さんはいらないわよ」と言うと手を離しそっぽを向いてしまう。その姿がどこか可笑しく、涼は思わず笑ってしまった。
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