1057人が本棚に入れています
本棚に追加
目の前の落ち込んでいる綾をチラッと見た涼はため息をつきながら口を開く。
「まぁ………俺も興味がないって言ったら嘘になるし、それに一人で入るってのも不安だったんだよ。でも綾が入るなら俺も………」
本音半分、嘘半分。入る気はなかったが興味があったのは確かだったので、気が付いたらそんな言葉がポッと口から漏れていた。
綾はハッと顔を上げて、そう言った涼の顔を覗き込む。
目で懇願するかのような綾の顔はいつもの凛々しく無表情な顔ではなく、どこか保護欲を掻きたてるように弱弱しかった。
「アストライアに入る者同士、これから仲良くしような」
「えぇ、もちろんよ!」
涼の言葉に元気よく相槌を打つ綾の顔は、先程の弱弱しい顔とは一変、自信満々といった笑顔だった。
少し雰囲気に流されてしまったと涼は思いながらも、ここまで来てしまったら引き返すことはできない。
心の中でため息を一つつきながらも、涼は綾の方へと顔を向ける。
(こいつ…………こんな表情豊かだったか?)
これが本当の綾なのだろうか。涼はうれしそうにしている綾を見てそんな事を考えていたがそれを口にはしなかった。
最初のコメントを投稿しよう!