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「何って、何が?」
「さっきの昼休みに瑞樹に呼び出されてただろ。何の用だったんだよ」
「別に、そんな大したことじゃないさ。ただ『今までごめんなさい。これからは仲良くしましょう』みたいな事を言われただけだよ」
黒板から目を離すことなくそう淡々と述べた涼に、啓吾は不思議そうな顔をしながら「どういう風の吹き回しだ?」と首を傾げていた。
放課後
今日も待っているであろうセイと神社で鍛錬をするためにと、涼は鞄を掴むとすぐ教室を後にしようとしたが。
『1年3組岩崎 涼さん。1年3組岩崎 涼さん。生徒相談室まで来てください。』
そんな放送がかかり、涼は体を反転させると生徒相談室へと向かった。
相談室に行くまでの間に自分がそこに呼ばれる理由を必死に考える。
思いついたのはこの前の学校爆発事件。その犯人が見つかったのかと思った涼からは冷や汗が背を伝う。
どうしてばれた?これからどうなる?と血の気が引いた頭で考えているうちに相談室へと到着してしまう。
「………………やっぱ逃げようかなぁ。地の果てまで」
「何を言ってるんだお前。さっさと入れ」
涼の相談室の扉を眺めながら零した呟きに、いつの間にか後ろにいた彩音が突っ込みを入れると、驚きのあまりビクリと伸びて硬直した涼の背中をグイグイと押しながら相談室へと入って行った。
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