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「ちょ、ちょっと。先生一体何を…………」
「あら、遅かったのね」
押しこまれた相談室にはどうやら先客がいたようで、そちらに目を向けるとそこにいたのは良く知った人物だった。
「綾?お前までなんでここに?」
「まぁ、それはこれから話す。とにかく座ってくれ」
悠々とパイプ椅子に座りながら机に肘をつき頬杖をついていた綾に聞いた質問を、彩音が扉に鍵をかけながら淡々と答えた。
綾と机を挟んで向かい側に座った彩音を見習い、綾の隣へと腰かけると彩音は小さく一息をついた後に正面の二人を見据えながら口を開いた。
「この面子が揃ったってことは、何を話すかぐらいお前達にも分かるだろ?」
その問いに二人は首を縦に振ると、彩音は柔らかな表情を浮かべながら「よし」と小さく呟いた。
「単刀直入に言う。…………昨日の答えは出たか?」
彩音の真剣な瞳、その目は二人の真意を確かめるために二人を射抜くように見つめている。
建前などの前置きはいらない。ただ二人の本心を知りたい。
その気持ちが伝わったのか、涼と綾は一瞬息を飲みながらも臆することなく口を開いた。
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